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呼吸器外科

患者さんへ


当科は、かつて結核療養所の呼吸器外科部門として発足し、以来70年近くにわたり呼吸器外科診療に携わってまいりました。開設当初は肺結核の外科治療が中心でしたが、社会の変化とともに肺がんの外科治療へと重点を移してきました。

肺がんの治療に加え、縦隔腫瘍や気胸といった一般的な呼吸器外科疾患の手術はもちろんのこと、開設当初からの伝統である肺結核、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、膿胸などの炎症性疾患に対する外科治療も積極的に行っています。これらの炎症性疾患の手術は、高度な癒着剥離技術を必要とし、そこで培われた技術は肺がん手術にも活かされています。

近年では、肺や胸膜だけでなく、呼吸に必要な筋肉や骨格の機能不全により呼吸機能低下の原因となる横隔膜弛緩症や多発肋骨骨折に対する、体への負担が少ない胸腔鏡を用いた手術にも積極的に取り組んでいます。

当科は、呼吸器外科専門医合同委員会の基幹施設として、4名の呼吸器外科専門医が診療を担当しており、呼吸器内科と緊密に連携しながら、肺がんをはじめとする呼吸器疾患の診断から治療までを一貫して行っています。呼吸器内科やリハビリテーションセンターと協力し、手術前後の治療選択や理学療法を通じて、患者さんが術後により早く呼吸機能を取り戻せるよう、病院の呼吸器センター全体でサポートしています。

呼吸器疾患に関するセカンドオピニオンも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

医療機関の皆様へ

当科は、結核療養所の呼吸器外科部門として70年近い呼吸器外科診療の歴史を有します。開設当初は肺結核に対する外科治療を主に行っておりましたが、肺結核の減少と肺癌の増加に伴い、肺癌外科治療に重点を移行してまいりました。

肺癌に加え、縦隔腫瘍、気胸の手術や、肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症、膿胸といった炎症性疾患に対する外科治療も、長年の伝統として継続しております。特に炎症性疾患の手術で求められる高度な癒着剥離技術は、肺癌手術においても重要な基盤となっています。

近年では、肺や胸膜だけでなく、呼吸に必要な筋肉や骨格の機能不全により呼吸機能低下の原因となる横隔膜弛緩症や多発肋骨骨折に対する胸腔鏡アプローチによる治療も積極的に導入しております。

当科は呼吸器外科専門医合同委員会の基幹施設であり、4名の呼吸器外科専門医が常勤しております。呼吸器内科との連携を密にし、肺癌を含む呼吸器疾患の診断から治療まで、一貫した診療体制を構築しています。周術期においては、呼吸器内科やリハビリテーションセンターと連携し、患者さんの術後呼吸機能回復を最大限にサポートできるよう努めております。

肺癌

当院は肺がんの東京都がん診療連携協力病院であり、呼吸器外科も当院呼吸器センター・がんセンターと協働して多くの肺癌患者さんの診療を行っています。(手術実績

1998年に現センター長の白石が旧国立療養所東京病院より赴任してから胸腔鏡下手術を積極的に行うようになり、現在は臨床病期Ⅰ期の肺癌では6〜8cmの補助開胸創を加えた胸腔鏡下手術を行い、臨床病期Ⅱ期以上の肺癌でも胸腔鏡を併用して可能な限り小さな傷で手術を行うようにしています。手術中の出血も極力抑えるようにしており、術中出血量は平均70ml程度で輸血を必要とすることはほとんどありません。傷の痛みも少なく、患者さんは手術翌日から歩行が可能です。術後入院期間も8〜10日です。

肺癌の肺切除についてはクリニカルパスを導入し患者さんに入院から手術そして退院までの治療計画を分かりやすく説明しています。肺癌は手術後も最低5年間は厳重に経過観察する必要があり、手術後の経過観察も地域連携クリニカルパスを導入してかかりつけ医と当科との共同で行っています。病理病期ⅠB期以上の患者さんに対しては肺癌診療ガイドラインの推奨にのっとり術後補助化学療法を行うようにしています。万一再発した場合には病状に応じて化学療法・放射線療法・支援療法等を行い、クオリティオブライフを保ちつつ延命がはかれるように努めています。

炎症性疾患

当科のもう一つの特色は炎症性疾患(肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症、膿胸)に対する手術を行っていることです。結核が国民病であった時代と比べ現在では炎症性疾患の手術に精通している呼吸器外科医は少なく当院の存在は貴重なものとなっています。そのため全国から治療に難渋している患者さんが紹介されてきています。当科の炎症性疾患に対する治療成績は海外でも高く評価されており、その成績をまとめた論文はJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery、Annals of Thoracic Surgery、European Journal of Cardio-Thoracic Surgeryといった欧米の胸部外科学会誌に掲載されています。さらに米国胸部疾患学会(ATS)が2020年に発表した非結核性抗酸菌症のガイドライン(Treatment of Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease: An Official ATS/ERS/ESCMID/IDSA Clinical Practice Guideline)に当科の論文が引用されました。米国学会のガイドラインに日本の論文が引用されることは稀でありそれだけ当院の成績が評価されたことの証といえます。

医師紹介

所属氏名
呼吸器センター長
白石 裕治(しらいし ゆうじ)
卒業年次
東北大学医学部 昭和59年卒
専門分野
呼吸器外科(肺がん・感染症の外科治療)
資格・学会
日本外科学会 指導医・専門医
日本呼吸器外科学会 指導医・専門医
日本胸部外科学会 指導医
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 指導医
日本呼吸器学会 指導医・専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡指導医・専門医
肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医師
米国胸部外科学会(STS) 会員
米国医師免許試験(USMLE) 合格
ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)
BEST DOCTORS IN JAPAN 認定
ドクターオブドクターズネットワーク 優秀専門臨床医
東北大学医学部 臨床教授
長崎大学連携大学院 臨床抗酸菌症学講座 教授
獨協医科大学 特任教授
所属氏名
呼吸器センター 副センター長
平松 美也子(ひらまつ みやこ)
卒業年次
東京慈恵会医科大学医学部 平成12年卒
専門分野
呼吸器外科(肺がん・非結核性抗酸菌症)
資格・学会
日本外科学会 指導医・専門医
日本呼吸器外科学会 専門医・評議員
日本呼吸器内視鏡学会 専門医
日本がん治療認定医機構 認定医
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 代議員
埼玉医科大学国際医療センター 非常勤講師
所属氏名
主任
下田 清美(しもだ きよみ)
卒業年次
滋賀医科大学医学部 平成13年卒
専門分野
呼吸器外科(緩和ケア)
資格・学会
日本外科学会 専門医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡指導医・専門医
日本呼吸器外科学会 専門医、胸腔鏡安全技術認定
日本内視鏡外科学会 技術認定医(呼吸器外科)
所属氏名
主任
名波 勇人(ななみ はやと)
卒業年次
浜松医科大学医学部  平成28年卒
専門分野
呼吸器外科
資格・学会
日本外科学会 専門医
日本呼吸器外科学会 専門医
肺がんCT健診認定機構 認定医
所属氏名
顧問
荒井 他嘉司(あらい たかし)
卒業年次
東北大学医学部 昭和36年卒
専門分野
呼吸器外科
資格・学会
日本外科学会 指導医・専門医
日本呼吸器外科学会 指導医
日本呼吸器学会 指導医・専門医
肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定医
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 指導医

手術実績

2022年度 2023年度 2024年度
原発性肺癌 95 100 88
転移性肺腫瘍 4 9 3
肺良性腫瘍 1 1 4
肺結核 0 0 0
肺非結核性抗酸菌症 37 35 39
肺真菌症 3 12 8
膿胸 20 24 36
気管支拡張症 3 1 3
気胸 34 26 17
縦隔腫瘍 10 8 8
その他 32 25 22
総数 239 241 228
胸腔鏡下手術 175 195 182
全麻下気管支塞栓術 15 7 8

呼吸ケアリハビリセンター(リハビリテーション科)